7/19/2014

Disney PixarとかDreamWorksのアニメーションを作るということ

今回はよく日本に居たときに言われた「pixar disneyとかdreamworksのアニメーションのクオリティ」でとかと言う事について思う所を書いてみたいと思います。特に悪意はなく個人的な考えなので、牙を剥かないでください。まず、僕の意見ですが今の日本で3DCG(アニメーションだけに関してという意味で)において上記の会社のクオリティの作品を作れるかと聞かれると、おそらく”NO”と答えます。この答えに考える反論としては、「時間をかければ出来る」「資金があれば可能」と言う感じのことが出てくると思います。本当にそうでしょうか?

まず根本に戻って、なぜ上記の会社のアニメーションが凄いと感じるのでしょう?お金があるからでしょうか?時間をたっぷり掛けているからでしょうか?強力なパイプライン、マシーンがあるからでしょうか?おそらく、これらの要因はほんの小さな一部でしか無いと考えています。

では何が原因でしょうか?
それはアニメーションに対する基礎知識と演技の分析力にあると思います。
基礎知識とはよく言われる「ディズニーのアニメーションの原則」みたいなものです。そしてそれを理解しているだけでなく、どこでどの様にどのタイミングでどのくらい使うのか?という事を的確に理解している、もしくはディレクションできる人がいます。

その次に、アクティングという物です。
コチラの評価されるアニメーションは動きのうしろに「ストーリがあるか?」という事です。それが一番重要視されます。そしてそこが一番難しい所でもあります。日本的なよく動いてる(僕の見解ではスムーズに動いている)という所ではなく、ストーリー(感情など)が重視されています。演技力という点では日本のCGアニメーションはまだまだだと思います。

さて、つぎは1ショットに掛ける時間を考えてみましょう。150Fのショットに3週間。コレを多いと考えるか少ないと考えるか。おそらく日本のアニメーターの皆さんは「コレだけ時間掛ければアレくらいのクオリティは当たり前」と思うかもしれません。本当にそうでしょうか?僕ならもっと欲しいと思ってしまうかもしれません。彼らは、いかに「ストーリー」を巧く簡潔に、オーディエンスに伝えられるか?いかにユニークな表現を出来るか?という所のバランスに時間を使います。なので、首の角度が45度ティルとしているのがいいのか40度ティルトしているのかということに時間を費やしています。おそらく「たかが5度違うくらいで何も変わらないよ」と思うかもしれません。そしてオーディエンスはその違いを目では感じないかもしれません。しかし彼らはこの違いが何かしらオーディエンスに違いを産むと言う事を知っているのです。5度の違いでキャラのストーリーが変わってしまうと言うのを理解しているのです。だからアニメーターはこだわります。

巧いアクティングというのは、大げさにオーバーアクティングするという事ではなく、ストーリを語れてるかと言う所です。何かに対するレスポンスがキャラクターの感情にマッチしていて、それを的確に表現出来ているかと否かという所です。

上記のことより、「時間、資金さえあればPixarレベルの作品は作れるよ」と言うのは少し安直すぎるかと。まず、ベーシックな部分の蓄積を大切にしていかないと。
なんとなくTwitterの方で呟いたものを考えをまとめて書いてみました。







5/05/2014

続 Animatorの仕事の話 質疑応答編

前回書いたエントリーに対する質問があったので、今回はそれについての返答をまとめたいと思います。


  • Mocapの話が出ていたけど、Mocapデーターを修正する別のチームがあるのか?またMocapデーターの編集はしているのか?
Mocapデーターだけを修正しているチームはありません。編集するならAnimatorがやる事になります。あと、コレはスタジオ、プロジェクトにもよると思いますが、今のスタジオは僕が入社してからのプロジェクトを見る限り、Mocapデーターを使用しておらず、手付けでアニメーションしています。また、前回書いた、デジタルダブルもちまちま手付けでやってました。


  • 以前僕がやっていたIanimateと、実際の現場の差はあったか?

コレについてですが、授業でやっていた物と現場の差はほとんど感じません。勿論作業時間の差などはありますが、求められるクオリティ、考え方、アニメーションに対する態度などは同じでした。なので僕自身はとても役立ったと思います。とくに、海外での経験もなく、日本からこのようなアプローチを学べたのが大きかったです。(しつこいようですが、コレはあくまで個人的な感想です。全ての人がこのように感じるというわけではありません)


  • デイリーについてもう少し詳しく!
デイリーについてもう少し詳しく書きますと、今のプロジェクトは夕方4時くらいまでにサブミットすると、その日のデイリーでなんだかのノート(修正、指示、OKなど)がもらえるようになっています。もちろん、自分の担当のショット全て出してもいいですが、一つだけもしくは出さなくても構いません。そして、デイリーで言われた事や、話した事はプロダクション(制作進行の人たち)が全部メモしていてくれて、Shotgun経由で自分のショットに記述されます。という分けなので、デイリー中は特にメモを取るのに忙しいという事にはならず、スーパーバイザーとの会話等に集中出来るようになっています。この辺りはとても効率よくなっています。


  • 英語は打丈夫なの?
なんと言うか、大丈夫です。特に困った事はありません。例えばもしショットの修正等の話をしていて、言っている単語が解らず、おおよその理解しか出来ない場合があるとします。こういう場合は、「あなたがいってるのは〜だよね?」と自分の知っている単語で確認します。もし自分の解釈があっていれば、『そうだよ』と返事が来るし間違っているばあいは相手が別の単語に置き換えてもう一度説明してくれます。コレの繰り返しです。


  • 演技出来ないショットでもみんななるべくリファレンスとってるの?
これも個人様々で、頑張ってリファレンスしてる同僚もいれば、Youtubeとかで探すアニメーターも居ます。また、サムネイルを書くアニメーターも居ます。この辺りは自分のやり易いようにやったり、各自色々と工夫してやっています。総じて言える事は、何かのリファレンス無しにアニメーション付けているアニメーターは居ないという事です。みんな何かしらの『リファレス』を作っています。

と今回は質問あった物をまとめてみました。また需要があればこういう話題も書いて行こうとも居ます。

4/20/2014

Animatorの仕事の話

今回は、仕事の感じなどを書いてみます。海外志望の人の参考になれば嬉しいです。
僕が今働いているのはFramestoreというVFX会社なので、大半がと言うか、ほぼ全てが実写との合成、映画の仕事となります。仕事の感じなのですが、コレまたプロジェクト、各スタジオ(UKとMontreal)によっても大きく変わってきます。Montrealではアニメーターは全体で25人位でやってます。みんな基本アニメーターは長期の契約で働いています。(Londonの方ではプロジェクトごとの契約があったりします)

以前少しだけ手伝った"Jupiter Ascending"このプロジェクトでAnimatorの主な仕事は

  • クリーチャーアニメーション 
  • 飛行機、ロボットなのどのアニメーション
  • デジタルダブルのアニメーション
  • ドア、主砲などのアニメーション
  • トラッキング的なアニメーション


などがありました。補足すると、デジタルダブルのアニメーションとは、実際に撮影した人物の動きを変えたい時、実際に撮影できないような動き、身体の一部をCGなどに変えたい時などです。また、トラッキング的なアニメーションとは、トラッキングやロトの人たちが出来ない、もっと精密な物が必要な場合、アニメーターに振られたりします。上記にデジタルッダブルの仕事と似たような感じです。実際このプロジェクトで、僕はトラッカーが追従できない、レバーの動きを数日ちまちまトラッキングしてました。
あと、このプロジェクトでは、エフェクトが多いため、アニメーターがエフェクトの見え方、タイミング等のリファレンスも作っていました。

そして今僕が関わっている"Paddington"での主な仕事は


  • Paddingtonのキャラクアーアニメーション
以上!
という風にプロジェクトによって大きく変わります。

しかし、VFX会社なので、どちらもリアルな物が要求されます。動きも実物の物から、理論的に考えて付けて行きます。多少の”嘘”、”誇張”はありますが。
アニメーション用語としては”Push”とか言ったりします。”押す”と言う意味ですがもっと誇張してみて、とかもう少し派手な感じにみたいな感じです。かといって、日本のアニメーションほど、誇張する事はあまり無いです。

以前、日本で「2Dのアニメーターは一枚一枚手で書いてるから、ちゃんと各コマに目がとおってるけど、今のフルCGアニメーションはキーフレームの間はソフトが自動補完してくれるから、コマ単位の確認しないよね」
なんて言われてる方が居ましたが、コチラは大多数が、フレーム単位でスペーシングや、ポーズの確認をしています。この辺りの細かい作業が、クオリティ向上に一役買っているのではないでしょうか。確かに僕の経験上、日本のフルCGアニメーション系は流れで確認する事が多く、フレーム単位で確認することは少なかった様に思います。

基本的に数ショットが振られてその作業を続けて行くというやり方です。デイリーというレビューが基本毎日設定されていて、決まった時間までにサブミット(提出)すると、コーディネーターの人などが、自分の番に呼びにきてくれます。デイリーは主にスーパーバイザー、リード、自分が関わっているショットの前後のアニメーター(ショットシーケンスのひとまとまり、例えばAa120_150というショットが自分に振られていた場合、Aa120というシーケンスにショットを持っている人達と一緒にします)そこで、各ショットの話し合いや、前後のつながりを見て話し合いながら詰めて行きます。デイリーは毎日出す必要はありませんが、今のスーパーバイザーは少しでも進捗が見たい人なので、全ショットバランスよく進めてなるべく多くサブミットするようにしています。デイリーの規則も特に決まっている訳ではなく、プロジェクトのニーズによって色々と変わって行ったりします。
また、大半が実写との合成なので、タイミング、動ける範囲などが既に決まっている(既に撮影された女優、男優との絡みの演技、撮影セットが既に決まっているなど)事が多いため、巧くそれにマッチするようなアニメーションを作るのも楽しくもあり、難しい所だと思います。