8/03/2013

animationに必要なもの 後編 (from iAnimate lecture)

前回までは、CGでアニメーションに入るまでの話を長々としてきましたが、今回はCGの中でのアニメーションのアプローチについて。

CGキャラクターが「生き生きしている」のと「生き生きしていない」二つの違いは何でしょうか。line of action? posingの悪さ?確かにそれらも要因だとは思いますが、僕の答えは「正しい態度がキャラクターに投影されていない」からだと思います。これは、僕自身の経験や、アニメーションを人に教えた経験からおそらくそうだとおもいます。

では「態度が正しく投影されていない」とはどういう事でしょうか。
それは「少し何かが違っているという状態」だとおもいます。



例えば、上の画像の通り、左の表現を作りたいと思って、作るのですが出来上がった物が右の物だったしたら、どうでしょう。左と右の違いは首の角度のみで、顔の表情その他は全く同じです。首の角度が少し違うだけで全く別物の態度になってしまいます。
首だけでこれだけ違ってくるのですから、もしこれが体の部位の色々なところで起こってしまえば、完全に違った物になってきます。プラス、作っている本人はこのズレに結構気付いていないまま作り続けてしまいやすいです。

例えば、この画像の左側のポーズで首が少し右肩の方に曲がっているのも理由がある訳で、ただただ曲がっているという理由では無いのです。そういうポーズの意味を考えながらつけていけば、ズレは埋まっていくのではないかと思います。で、そこを気付くようになるにははやり、自分で写真や映画などの演技をみて、自分で分析(なぜこのポーズはこういう風に感じるのか見えるのか?)というのをしてみるのが一番だと思います。

最後に、たまにカートゥーン調のアニメーションはリアルな感じのアニメーションより自由度が高くて、簡単というのをたまに聞いたりしますが、僕はその逆で、カートゥーン調のアニメーションの方が、複雑で難しいと思います。

簡潔に言うと、カートゥーンはリアルな動きをベースに極限まで削ったり、強調したりする手法です。つまりは、正しいキャラクターの態度が出来ていないまま、削ったり強調したりすると、曖昧なアニメーションになってしまいます。

以上今までのまとめをすると、
  1. CGの制作に入る前に、自分の作るキャラクターを正しく理解する。
  2. そのショットの中で、見ている人が「共感」出来るポイントを考える
  3. どういう演技が「共感」を生むのか考える
  4. CGキャラをアニメーションする際に自分が見つけた「共感」を正しく反映させる
  5. 他人に見せる
最後に他人に見せると書きましたが、コレは本当に大事で、自分でずっと作っている徐々に全体が見えなくなってしまいます。コレを修正出来るのが他人の目です。

今まで書いてきた事プラス「サブテキスト」や「フィジカル」なことなどまだまだ色々要素が必要ですが、この基本部分が出来ていないとそういう事も無駄になってしまいます。
まずは、キャラクターの正しい「態度」を作って「共感」を作ることにが一番の基本だと講義を通じて学んだ事です。