12/29/2016

Shotgun(アニメーターの)使用例

2016年も残り少なくなりました!今年最後の話題はShotgunについて書いてみたいと思います。最近は日本でも導入記事が多く見られる様になったShotgunですが今回はアニメーターである僕がVFX会社でどの様に使用して、プロダクションがどの様に使用しているのかを書いていきたいと思います。

まず、Shotgunとはざっくり言うとタスク管理ツールに分類されると思います。
詳しい事はリンク先を見てもらうとして、実際に今の会社ではどの様に使用されているかを体験談として書いていこうと思います。

まずプロダクションによるショットアサインが起こります。プロダクションが僕にショットを振り分けるのです。そして、アニメーターである僕がこの時点でするべきことは
  • ショットの長さを確認する
  • リタイム、フロップ、リラックなどの変更はあるか?
  • 前行程と後行程は誰なのか?
  • 何日アニメーションに割り振られているのか?
  • ショットで何をするのか?
などどの情報を調べることです。例えばショットの長さは、コンプレンジを確認するのに必要です。また担当ショットがリタイム、フロップ、フロップされていないかなどを調べるのに役立ちます。VFXではスキャンにすべて合わされるので、カメラトラック、ボディトラックなどすべてのものがリタイム等に対応されていないとアニメーションが開始できないのです。

もし、アセットが完璧でなくアニメーションが開始できない場合は、3番目に書いてある前行程の人とプロダクションに連絡をとり、修正を頼みます。Shotgunだとショットの担当者がすべて書いてあるので調べることが簡単です。

またデイリーでのノートがShotgun経由でメールされてくるので、聞き逃したりした場合に見直すのが楽です。またノートもVFX Supe noteかDirectore's noteなのかもわかるので修正のプライオリティも付けやすくなります。ただデイリーはデイリールームで行われるので、国内の使用例で見られるオーバーペイントの例はあまりありません。(Directore's noteの方がオーバーペイントが多いです)

プロダクションとしては、ショットを期間内に終わらせなければいけないので、誰かが一つのショットで詰まっていると、他の人に振り分け始めます。(勿論勝手にはせずに、担当者の許可を得てから振り分けます)途中のショットを振り分けられると、振り分けられた人はShotgunのNoteという項目を読んで、いま作業がどの辺りなのか?いままでのノートはなんだったのかを把握して作業を引き継ぎます。このような場合にShotgunは非常に便利なツールだと思います。

またShotgunではバージョン管理ができるので、デイリーのノートでV009のアニメーションに戻してなどと言われたりします。これが結構便利でショットのバージョンはアニメーションでも大体少なくてV010以上、多くてV080位まで行くことがあるので過去のバージョン遡るのは非常に便利です。

また、各ショットが今どの状態なのか Blocking, Polishどの状態なのか解るのも便利です。

とまぁ、アーティストからすると見てるだけがほとんどなので特に苦労はないのですが、プロダクションは変更やらノートの記述やらで色々大変なのではないかなと。
あとは、個人でデータ管理しないので、データが分散したり紛失したりしないのはいいと思います。

ああ、書き忘れちゃいけないのがデイリーにサブミットするときにプロダクションの作成したShotgunのlistを選ぶので、自分があと何人待てば順番が回ってくるか解るのも少しよい。特に締め切り前だとデイリーの順番が20時過ぎそうって解ると帰れるし。。。

11/19/2016

海外の会社のリクルートページの読み方

今回は「学生の方」や「海外の会社にそろそろ応募してみたいな」と考えている人向けの内容になります。日本のリクルートページは日本語なので、苦もなく読み進められるのですが、初めて海外のリクルートページを見ると、英語ばかりで二の足を踏んでしまいます。そうなら無いように少しばかりリクルートページを読み解いていきたいと思います。

"Location" これは働く場所を指します。例えば Location :Londonとあればロンドンの会社Location:Vancouverとあれば、バンクーバの会社で働くと言うことです。これは支社を世界各国に持っている会社のページによく見られます。注意してチェックしないと、自分はバンクーバーで働きたいのに、ロンドンの方で応募していたという手違いが起こります。

"Job Description" "Key propose of job"などなど。これは主にやる仕事内容が大まかに書かれています。また、場合によっては参加するプロジェクト名も書かれていたりします。
ここをよく読んで、条件のあうポジションを探すのです。

"Qualification""Needs to know"などなど。ここでは要求するスキルレベルが書かれています。しかしここで書かれているのはあくまで会社側の希望なので全てを満たす必要はありません。またここで良く見かける"+3years"というのは、そのポジションで「3年位上の経験もしくはそれ同等のスキルレベルがある人」という意味合いです。なので、必ずしも3年の経験が必要という意味ではありません。

さて、ここからは文面の裏側の意味を少し見ていきたいと思います。

"ASAP" これは" As soon as possible"の略した記述になります。文字数が制限されているツイッターなどの求人で見ることができます。これが意味することは「プロジェクトが佳境に向かっていたりして、直ぐにでも人員を増員したい」つまりは「ビザとか用意してる時間がないので、ビザの申請必要ない人は応募して!」という場合が多いです。ですので、可能性はないとは言えませんが、ビザ申請が必要な人の場合は採用されにくくなります。

"Jounior level" 採用ページにジュニアレベルでも受け付けますよと記述されている場合があります。しかしながら海外から採用する場合は色々な制約が出てきますし、採用する側としてもかなりのコストと労力を必要とします。なので実際のところジュニアレベルでの採用の可能性は非常に低くなります。ジュニアであれば、現地の人達を採用した方が楽だからです。

ではジュニアレベルだと可能性はないのか?といえばそうではありません。一番よい手段としては、最近増えてきている「ワーホリビザを使用する」ことです。とりあえず、ビザのコストや、最低賃金などのハードルは会社側は心配する必要がないので、現地アーティストと同じスタート地点に立てます。もし、ワーホリビザがない場合は、残念ながらスキルで戦うしかありません。

"Linux"これも、大手などので良く見られる記述です。知識があるに越したことはないですが、あまり重視されません。使用していなくても入社後柔軟に対応できれば問題ありません。

また、参加したいプロジェクトの公開日から逆算してどの位の時期にどのポジションが応募し始めるかという予測も可能です。たとえば、アニメーションの場合ならば公開日のおよそ4ヶ月前に終了します。そしておよそ半年ほど前からアニメーションの作業が開始します。そう考えるとその半年前くらいからアニメーションのリクルートが開始し始めるのです。なので、もし非常に参加したいプロジェクトの製作が発表されれば、公開時期をしらべて、逆算しプロダクションのリクルートページを常にチェックしておくということになります。


少しばかりの説明ですが、初めてリクルートサイトを見る際の手助けになれば幸いです。

10/17/2016

プレッシャーと息抜き

今回は忙しい中での息抜きについて書いていきたいと思います。

まず、今の会社では月に一度ピザとビールが振る舞われます。これは"Pizza and Beer"というイベントで、「いつも頑張ってくれてありがとう」という感謝の意味を込めた会社からのギフトになります。これは会社毎に頻度が変わると思いますが、多くの会社で行われている催しだと聞いています。(これは日本の会社でもやっている所もあるようです。)
今の会社では各フロアにビールとピザが配布されます(フリー)。今の会社は5F階まであるので、ピザとビールの量は相当量になると思いますが、こういう些細な事を会社側がすることで、働いている僕らのやる気が増量します。


また、各部署やプロジェクトによっては各自に飲み会を会社でやっていたりしたりしています。以前のプロジェクトではアニメーターセクションが”Friday Bar”という名目で毎週金曜日に順番にカクテルを作っていました。


さらに、締め切り前の忙しい時期(英語で Crunch Time ”クランチタイム”)には節目節目でなんだかのイベント(ビールの振る舞いや、お菓子などの振る舞い)があります。そうする事によって、皆のピリピリした雰囲気を和らげ、事を潤滑に進めようと会社側は努力します。

このように、会社側(プロダクション側)もプレッシャーをかけるだけでなく、時には息抜きを与えてうまくアーティストに休息をあたえていきます。そうしないと、アーティスト達は不満ばかりがたまり、プロジェクトの進行に妨げが出るのを知っているからです。

また、プロジェクトが終わると必ずといって良いほど、プロジェクト完成パーティがバーなどを貸し切って模様されます。これも感謝の気持を込めてのものなので、プロジェクに関わった人たちは結構待ちわびています。なので、プロジェクトが終わったのにパーティが行われないと、「パーティは一体どうなってるんだ!」と不満が起こったりします。

また、会社的に大きなパーティとしてはクリスマッスパーティがあります。これはどこかのホールやバーなどを貸し切って、盛大に行われます。一年間のすべての疲れをここですべて吐き出すためのパーティなので、規模があまりにも小さかったり、内容が良くないとみんなの不満がマックスになります。

このように、会社側もいつもプレッシャーを与えるだけでなく、うまくバランスをとりつつプロジェクトを円滑に進められるように努力しています。


9/19/2016

VFX会社のアニメーション

今回はVFX会社でのアニメーションについて簡潔に紹介したいと思います。僕自身は日本でのVFX経験がないので、日本と比較できませんが日本で働いていて海外のVFXアニメーションに興味がある人には役立てるのではないかと思います。

まず、アニメーションの種類ですが、ざっくり分けて二種類あります。

  • キーフレームアニメーション
  • モーションキャプチャーベース
ショットによって、どちらの手法を使用するか指示がある場合があります。もしそういう類の指示がなければ、各自が決定することができます。モーションキャプチャーを使用する場合はライブラリーのどのファイルを使用すればいいのか、もしショット用に新しいキャプターデータがあるならどれを使うのかという事が、リードやスープから連絡がきます。

キーフレームの場合は自分で演技を考えて作成していきます。キャプターのファイルを使うにしても、細かい修正などが求められるので、データをショットに流し込んで終了という事にはなりません。

指示がない場合、キーフレームかキャプチャーデータどちらを使うかという問題ですが、これは完全に個人の判断に任されています。なので、決められた時間内に終わるように自分でどちらを使用するのが決定していかなければなりません。この辺りの時間との駆け引きの感覚も大切になってきます。

次にショットの種類ですが、
  • 実写素材に合わせるアニメーション
  • フルCGのショットのアニメーション
の二つに大きく分ける事ができます。

実写素材に合わせる場合はカメラワーク、レンズ口径などがすでに決定されているのでその決定されたフレーミング内でのアニメーションになります。これが意外と難しく、とくに実写のオブジェクトや人間に触れたりするすると難易度が上がります。

次にフルCGのショットですが、もちろんレイアウトからショットが降りてくるので、カメラなどの詳細がけっていしているのですが、これがアニメーションで変更される事が多々あります。実写素材と違って撮影しなおす必要がないので変更しやすいのです。どちらかというとフルCGのショットの方が大きい変更が起きやすくなります。

余談ですが、ショットには

  • 撮影されたスピードで使用される素材
  • 撮影されたスピードを遅めたり、速めたりされた素材
があります。当然素材が速められたり、遅くなっていれば、アニメーションをつける時点で対応しなければなりません。もし同じフレーム内に、速さの比較ができる実写の対象があれば、結構手間がかかるショットになります。各自で遅いアニメーションや速いアニメーションをつけなければいけないからです。これは等速でつけてキーを縮小拡大すればできると思いがちですが、実際はいろいろな補完が必要で、簡単にはいかないのです。

使用するリグですが、とにかくコントローラーが多いです。こんなものなくてもいいんじゃない?っていう場所にも付いていたりします。そしてそういうコンローラーは特殊なショットがあった場合を想定してつけていたりするので、ほとんどの人が使用しないままプロジェクトが終わってしまいます。
しかしながら、その特殊なショットに自分が当たってしまうと、誰も使った事のないコントローラーと格闘しなければいけないので、これも難易度が上がります。

VFXのアニメーションはリアリティが求められます。真のリアルというわけではなく見ている人が「これはリアルな動きだ」と信じられる動きです。

アニメーションといえばディズニーのようなアニメーションをみんな目指しますが(実際僕も大好きです)、VFXのアニメーションも面白いものだという事が伝われば幸いです。




6/08/2016

最近のVFX事情あれこれ

今回は最近のVFX事情についてまとめてみたいと思います。バンクーバー、モントリオール、イギリスを中心に話を進めていきます。耳にすることが多くなった、カナダの事情や、今僕自身がいるイギリスの事情について触れていこうと思います。


まず、カナダですがバンクーバーが今非常に活気があります。またこれから紹介していく他のどの場所よりも1番VFX関係の日本人が多い場所であるかと思います。理由としては、まず仕事の多くがバンクーバーに流れているため、多くの人が必要とされているからです。しかしながら、バンクーバーで仕事を得るのが簡単か?いえば事はそんなに簡単ではなく難しいと言えると思います。バンクーバーには多くの大手VFX会社がありますが、どの会社も即戦力を欲しがっています。そのため多くの会社はこぞってミドル以上のレベルを雇いたいと考えています。ですのでミドル以上にとっては、求職し易い場所かもしれませんが、ジュニアだと色々と苦労するかもしれません。また、住宅費が高く、安いフラットなどは競争率が高く、なかなかよい物件を見つけられないとも聞いています。


主な会社
Sony Pictures Imageworks
MPC
ILM
Animallogic
Image Engine
Method Studio
Scanline VFX
Double Negative


次に同じカナダのモントリオールはどうでしょうか?
こちらは会社自体は多くは在りませんが、映画を中心に活動している会社が何社かあります。また、タックス援助で海外から来た会社以外にも、ローカルでありつつビックタイトルを手がけている会社もあります。さらにモントリオールはVFXだけでなく、ゲーム産業も盛んなので、UBIソフトなどの大手も存在しています。なので、ゲーム関係の仕事として海外で働いてみたいと思っている人にも良い場所だと思います。またモントリオールは今のところ全体的に契約期間が長い傾向があるので、そのあたりも魅力的な部分だともいえます。モントリオールはバンクーバーに比べると、移住してくる人が少ないため、比較的ジュニアに近いレベルでも仕事を得る機会が多いとも思えます。デメリットとしては、日本人が多くないという点と第一言語が英語ではなくフランス語、そして冬は非常に寒いと言うところでしょうか。


主な会社
Framestore   
Cinesite   
MPC    
Rodeo FX   
Atomic Fiction   
UBI          
Warner
Edios     


さて、最後にイギリスですが、他の場所に比べると非常に会社が少ないです。そして、ワーホリを取得するのも非常に困難な状況です。ですので、日本人が非常に少ないのが現状です。さらに、ポンドが非常に強いので、ワーホリで来ても収入がなければ、すぐ貯蓄が無くなってしまうという危険があります。しかしながら、イギリス勢の会社がカナダに支社を出したり、オスカーを獲得したりと勢いがあるのも事実です。ここ数年前からVRなどの技術などに注目し力を入れている会社も多く見ます。イギリスを選ぶメリットとしては、映画だけでなく、CMの仕事を兼任している大手もあるため、映画とCMの選択が可能です。もともとロンドンにある大手VFX会社の多くはCM会社から始まったため、いまでもその仕事をひきつづき続けているのです。


主な会社
ILM
Framestore   
Cinesite   
MPC    
Double Negative
Mill
Third Floor



また、各会社毎にそれぞれ特色があり、Sony ImageworksはVFX とフューチャーアニメーションを手掛けています。MPCは各支店毎にそれぞれのプロジェクトを運用していますし、Scanlineは水系のエフェクトを得意としています。FramestoreはVFX系ですが、クリチャーなどのアニメーションが多いプロジェクトをよく手掛けます。Double Negativeも最近は、ロンドンとバンクーバーそれぞれで、プロジェクトを完結する方向になってきています。Millはオシャレな映像を常に作り続けており、Third floorは高品質なプレビズ作成の会社として有名です。CinesiteはVFXもフューチャーアニメーションも両方手掛けていますが、フューチャーアニメーションはモントリオールでのみ作成されています。

簡単に各場所のポイントをまとめてみましたが、もし、海外で働いてみたいと思っているならば、自分が1番やりたいことに少ない苦労で到達できるように各場所の傾向を調べつつ、応募してみてはどうでしょう。