前回少し紹介したように、今回はサブテキストについて書いてゆきたいと思います。
”Subtext サブテキスト”とは?
これは、台詞では表されていない人物などの態度(感情、考え)です。主に表情、身体の動きなどに現れます。そして、これらのサブテキストは、全世界共通のものとそうでは無いもの(文化的背景に多く依存するもの)があります。
がしかし、多くの役者やアニメーションで使われるのは全世界共通のものが多いです。というのも、作られた作品は、色々な国、文化の人々が見る事になるからです。なので可能な限り文化的背景を持ったサブテキストは回避するようにしています。
ここからは、参考アクティングと共に書いて行きたいと思います。
参考にする動画は、原題"Notebook" (邦題 君に読む物語)です。この映画、僕自身、話の内容も好きですが、主人公の男女のエモーショナルな演技が素晴らしくとても好きな作品の一つです。もし良ければ、全編見てはいかがでしょう。おそらくアクティングの色々なヒントが見つけられると思います。
さて、今回のシーンのリンクですが
http://youtu.be/E1I0hAxGFXw?t=1m35s
台詞はたった一行 "What do you want ?"(何が望み?)この台詞が4回繰り返されるだけです。言っている台詞は繰り返しですが、4回の繰り返し中、彼のサブテキストは全て違います。その辺りを感じ取ってもらうのが今回のブログの目的です。
1回目
少し荒めに、しかしまだジェントルに訪ねています。しかし台詞の裏には彼のいらつきが見て取れます。そして、左手のスイングが彼女に答えを強要しています。言葉には出していませんが、彼は彼女の態度に苛ついているのです。ちなみに、この台詞を言う前に唇をなめるのは、彼のAnticipation(予備動作)となります。
2回目
彼は彼女が頭を振っているのを見ています。コレも彼女のサブテキストで否定 "I can not answer" (答えられない) という様な事を表しています。話を彼に戻しましょう。
彼女の反応をみて彼は、更に強い苛つきとともに、強く彼女に答えを求めます。そして、既に1回目ほどのジェントルさはありません。
3回目
彼は彼女が喋り終えるまえに話し始めます。これは、彼の苛立ちがマックスになり、彼女の答えられないという理由はいいので、「とにかく答えを出せ!」という強い姿勢を見せています。そして、今回彼はそれぞれの言葉を、はっきりゆっくり話しています。この動作は 「私の言葉を良く聞いて、答えなさい、解った?」という暗示です。ちょうど大人が子供に話しかけるように、自分が上の立場になって、コントロールを取り戻し答えを引き出そうとしています。
4回目
しかし、彼女は答えを出しません。今回彼は、ほぼ諦めに似た態度で台詞を吐き出します。彼は、この台詞を言いますが、もはや答えを期待はしていません。
どうでしょうか、4回同じ台詞を繰り返しただけですが、だんだんと盛り上がって、クライマックスがあり、最後は落ち着く。このような流れがあります。
台詞だけだと「どうしたいんだ?」というたった一言ですが、サブテキストと一緒に見ると様々な感情や、考えの多様性が見られ、アクティングに深みを与えているのを感じて頂けましたか?